日本の風物詩「打ち水」の効果は絶大!?効率的に涼しくなるコツを紹介!


 夏の風物詩としてよく知られている「打ち水」ですが、涼しくなる原理や効果的な方法について知っていますか?実は打ち水は「地球に優しい暑さ対策」として、世界からも注目されているすごい風習なんです!
 そこで今回は、日本の伝統的な風習である「打ち水」について詳しく紹介します。楽しいイベントの紹介などもしているので、ぜひ最後までご覧ください!

 

目次
◯打ち水とは?
・どうして打ち水をすると涼しくなるの?
【豆知識】気化熱って?
・打ち水の歴史

◯打ち水のルールを知ろう!
・打ち水をするときのポイント
 1.「水道水以外」の水を再利用する
 2.日向よりも「日陰」がおすすめ
 3.時間帯は「朝」や「夕方」がおすすめ
 4.マンションなら「ベランダ」にも打ち水を

◯打ち水大作戦
・打ち水大作戦とは?
【豆知識】打ち水大作戦の始まり
・「打ち水大作戦2023」に参加してみよう!

◯打ち水以外のエコな涼み方
・外出編
 1.山や川などの涼しい場所にお出かけする
 2.水場で遊ぶ
・室内編
 1.冷たい食べ物・スイーツで体を冷やす
 2.足を冷やす
 3.風鈴の音を楽しむ
 4.「緑のカーテン」「すだれ」などで日陰をつくる
 5.ミントの香りで体感温度を下げる

◯まとめ

 

○打ち水とは?

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  「打ち水」とは、道や庭などに水を撒くことによって涼しさを得るという日本の風習です。
 手軽に涼しさを感じられる上、見た目にも清涼感があるので、昔から日本の夏の風物詩として多くの人に親しまれています。また「水によって場を清める」といった神道的な意味合いも含まれているそうです。

 

・どうして打ち水をすると涼しくなるの?
 実際に打ち水をしてみると、かなり涼しくなってびっくりした人もいるかもしれません。「地面を濡らしただけで、どうしてこんなに涼しくなるのだろう?」と不思議に思いますよね。
 実は「打ち水」は、体感気温を下げるのにとても効果的な方法なんです。
 打ち水をすると、地面が水によって直接冷やされます。これにより地面の熱気が抑えられ、体感温度を下げることができます。
それに地面が濡れていると、見た目も涼やかですよね。
 しばらくすると撒いた水が蒸発するのですが、このときに地面が持っている熱を「気化熱」として奪い、さらに周りの温度を下げてくれます。そして水の蒸発によって気圧が変化し、空気の流れ=「風」が発生し、より涼しさを感じることができるのです。

 

【豆知識】気化熱って?
 水などの液体には「蒸発するときに周囲の熱を奪う」という変わった特性があり、このとき周囲から奪われる熱を「気化熱(または蒸発熱)」といいます。
 打ち水をすると、地面から気化熱が奪われます。このとき奪われた熱エネルギーは「水が水蒸気になるための運動エネルギー」に変換されるため、地面の熱がそのまま空気に移動して、空気の温度が上がるということはありません。
 身近なもので言えば、注射を打つ前にアルコール消毒液を塗ると腕がヒヤッとしますよね。これも気化熱なんです!アルコールが一瞬で蒸発して、それと同時に腕の熱を奪っているんです。

 

 

打ち水の歴史
 打ち水の歴史は古く、戦国〜安土桃山時代に成立した「茶の湯」から始まったと考えられています。茶の湯では打ち水を、礼儀作法の一環として行っていました。
 時は流れて江戸時代の頃には、俳句や浮世絵に描かれるなど、一般的な涼み方として広く庶民に普及している様子が見受けられます。
 水を撒くだけの手軽さが、多くの人に受け入れられた理由かもしれませんね。

 

 

 

打ち水のルールを知ろう!

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  打ち水はとっても簡単なのですが、ぜひ知っておいて欲しいルールや効果を高めるポイントがいくつかあります。実践する前に、ぜひチェックしてください。

 

打ち水をするときのポイント
 1.「水道水以外」の水を再利用する
 打ち水はエアコンなどと違って「エコに涼める」のが1番の魅力なので、蛇口から出したばかりの水道水を使ってしまうのは本末転倒です。
 打ち水をするときには、例えばお風呂の残り湯や、米の研ぎ汁、雨水、エアコン室外機にたまった水などの二次利用水を積極的に使うようにしましょう。
 ちなみに常温の水でも十分効果が得られるので、無理に冷たい水を用意する必要は全くありません。水は限られた資源なので、無駄なく大切に使うようにしましょうね!


 2.日向よりも「日陰」がおすすめ
 打ち水をする場所は、日向より日陰の方がおすすめです。
 熱々の地面やアスファルトに水をかけたい所ですが、水がすぐに蒸発してしまうと気化熱の効果が長続きしないため、あまり意味がないのです。
 ですが日陰ならゆっくりと蒸発するため、しばらく放っておいても涼しさが継続してくれますよ。風通しの良い場所を選ぶと、さらに効果的です。


 3.時間帯は「朝」や「夕方」がおすすめ
 打ち水をする時間帯は朝や夕方など、太陽が少し傾いているときをおすすめします。これも場所と同様、撒いた水がすぐに蒸発してしまうのを防ぐためです。
 午前中に打ち水をすることで、涼しさを感じられるため自然とエアコンの使用頻度を下げることができます。また夕方に打ち水をすると、夜を快適に過ごせますよ。


 4.マンションなら「ベランダ」にも打ち水を
 マンションにお住まいなら、ベランダへの打ち水もおすすめです。ベランダは多くの場合、熱気が溜まりやすいコンクリートなどでできているため、打ち水をすることでとても快適に過ごすことができます。
 ベランダで植物を育てている場合は、朝の水やりのついでにベランダ全体に水をまくと良いですよ。ちなみに植物は周囲の気温を下げる「蒸散作用」を持っているため、暑さ対策により効果的です。

 

 

打ち水大作戦

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 「打ち水大作戦」という日本発祥のプロジェクトを知っていますか?
 打ち水大作戦は2003年から始まったプロジェクトで、誰もが気軽に楽しく参加できるヒートアイランド対策、さらには地球温暖化への取り組みとして注目されており、日本だけでなく世界にも広がりをみせています。

 

打ち水大作戦とは?
 打ち水大作戦とは、「日時を決めて、残り湯などの二次利用水を使ってみんなが一斉に打ち水をする」という、ただそれだけのことです。
 とても簡単なことですが、電気などのエネルギーを使わず簡単に涼しさを味わえるだけでなく、みんなで打ち水をすることでちょっとしたイベント気分を楽しめたり、地球や資源を大切にすることの意味を改めて考えるきっかけになりますよ。

[ 打ち水のやり方 ]
①水(二次利用水)と容器、水を撒く柄杓(あれば)などを用意する
 →水を入れたペットボトルなどでもOK
②家の近くの道路や庭・ベランダなどに水を撒く
 →もちろん手で撒いてもOK
③涼しい風を感じる
 →「涼しいな」と感じたら毎日続けてみよう!


 2003年からスタートした打ち水大作戦は、今年でなんと20周年目!この節目を未来へ繋げるために、日本各地で打ち水大作戦に関わってきた20名へのインタビュー記事が掲載されています。どんな人がどんな思いで打ち水に参加しているのか、またイベントの様子なども写真付きで分かりやすく載っているので、ぜひ一度見に行ってみてください。

▶︎「打ち水大作戦2023」公式HP:https://uchimizu.jp

 

 

【豆知識】打ち水大作戦の始まり
 打ち水大作戦の始まりは、「江戸時代から続く打ち水がヒートアイランド現象にどのくらい効果的なのか」を検証するために行われた、大規模な社会実験から始まりました。
 2003年に東京で行われたこの実験では、ネット上の呼びかけに賛同した約34万人が一斉に打ち水を行い、結果的に当日の気温を1〜2度下げることに成功しています。

 

 

「打ち水大作戦2023」に参加してみよう!
 今年の打ち水大作戦は、7/23〜8/23の「晴れの日」に決定しました!
 参加方法はとっても簡単で、晴れた日に毎日、家の近くに打ち水をするだけです。もし参加したなら、ぜひ「#打ち水大作戦」をつけてSNSに投稿してみましょう!ハッシュタグで検索をして、仲間を見つけるのも楽しそうですね。

 

打ち水以外のエコな涼み方

   ここからは少し番外編として「打ち水以外にできるエコな涼み方」をいくつかご紹介します。とにかく暑い日本の夏を少しでも快適に過ごすために、打ち水と合わせて実践してみてくださいね。

 

外出編
1.山や川などの涼しい場所にお出かけする
川と山
 自然がいっぱいで人工物が少ない山や川は、新鮮な空気と水・豊富な植物などにあふれ、とても涼やかです。特に大きな樹木が多い場所では直射日光も遮られ、快適に過ごすことができます。
今はまだ外出しづらい状況ではありますが、人混みを避けて少し自然の中を散歩するだけでも、十分満足できると思いますよ。
※虫刺されや怪我を予防するために、長袖長ズボンなど、なるべく肌が露出しない服装を選んでくださいね。

 

 

 

2.水場で遊ぶ
プール
 海やプールなどの水場も、涼しさを得る場所としてとてもおすすめです。暑いときに冷たい水に入るのは、とっても気持ちいいですよね。しかしこちらも昨今の情勢を踏まえて、まだまだ遊ぶ場所や時間帯に配慮しなければなりません。
 お子さんがいるご家庭なら、庭に子供用プールを出してあげるのもおすすめですよ!

 

 

 

室内編
1.冷たい食べ物・スイーツで体を冷やす
かき氷
 夏といえば、アイスやかき氷、スイカなどの冷たいスイーツを楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。またそうめんや冷やし中華も、美味しい夏の定番メニューです。
 ただし、暑いからといって毎食冷たいものでは体調を崩してしまうので、暖かいご飯もきちんと摂るようにしてくださいね。

 

 

 

2.足を冷やす
子供の水遊び
 水をシャワーで全身に浴びると確かに体温は下がりますが、風邪を引いてしまうかもしれません。実は足には熱気がたまりやすいので、足だけを冷やす方法でも十分涼しさを実感できますよ。足湯の水バージョンのような感じで、気軽に行えるのもポイントです。
 また寝苦しい夜は、布団から足だけ出しておくとずいぶん快適に過ごすことができますよ。

 



3.風鈴の音を楽しむ
風鈴
 風鈴のチリンチリンという音はとても澄んでいて、何だか涼しくなるような感じがしますよね。必ず生活に必要なものではないけれど、おうち時間を少し風流な気分で過ごせる、素敵な日本のアイテムだと思います。
 最近の風鈴は可愛らしいものや手頃なものなど非常にバリエーションに富んでいるので、見ているだけでも楽しめますよ。

 

 

 

4.「緑のカーテン」「すだれ」などで日陰をつくる
ゴーヤ 緑のカーテン
 ベランダにゴーヤやきゅうり、朝顔などのツル性植物を使って緑のカーテンを作ってみるのもおすすめです。見た目にも涼しいですし、植物の蒸散作用も働いて実際に気温を下げることができますよ。
 また和風の雰囲気にしたい場合は、すだれで日差しを防ぐのも効果的です。

 

 

 

5.ミントの香りで体感温度を下げる
ミント
 清涼感のあるミントの香りには、体感温度を約4度ほど下げる効果があることがわかってます。どこでも気軽に取り入れられるので、実践しやすい暑さ対策といえます。
※ハッカ油などに含まれる化学物質は猫やその他小動物にとって害のあるものなので、ペットと一緒に暮らしているご家庭では注意が必要です。

 

 

 

まとめ

 お金をかけず手軽にできて大きな効果を得られる打ち水は、夏の暑さ対策にとてもおすすめです。打ち水をする際は、紹介したポイントなどを踏まえながら、ご家族や大切な人と楽しく行ってみてください!

 


ASTAS
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