RIKI CLOCK(リキクロック)


1.渡辺力さんと私
渡辺力 平田欽也渡辺力さんとの出会いは、私が建築家・清家清の事務所「デザインシステム」に勤務して「鎌倉プリンスホテル」を担当していた1994年頃。渡辺力さんは当時83歳にも関わらずパワフルで、現場の第一線で活躍されていた。
小柄で物静かな方だが、デザインへの執着とコンセプトは一貫されており、ほんの些細なことも最後まで妥協せず拘り続けられていた。清家先生は「力さんは建築家のようだ」といい、力さんは「僕は家具屋ですよ」と返す。お2人がデザインでぶつかりあわないのが私には不思議でたまらなかった。

渡辺力さんと清家先生は、終戦後間もなく「新建築」の編集者として知りあう。清家先生の処女作「うさぎ幼稚園」(1949年)の家具を力さんに依頼して以降、多くの仕事を建築家と家具・インテリアデザイナーとして共同で行い、その作品は数知れず。渡辺力さんのデザインはシンプルで飾らない雰囲気だが、機能や構造は使う人のことをとことん考え抜かれている。だからこそ時代を超えて愛され続けているのではないだろうか。清家先生の言葉を借りるなら、「渡辺力」とは「建築家のようなプロダクトデザイナー」である。

 

 

それでは渡辺力さんのライフワークであった時計、いわゆる「RIKI CLOCK」シリーズを紹介していこう。

2.渡辺力さんのライフワーク、RIKI CLOCKシリーズ

 

RIKI CLOCK RC

RIKI CLOCK RC

1.RIKI CLOCK RC(リキクロック〈電波時計〉)


日比谷第一生命ポール時計から腕時計に至るまで、あらゆる時計のデザインをライフワークとした、日本を代表するプロダクトデザイナー渡辺力さんデザインの壁掛け時計RILK CLOCK(リキクロック)。シンプルで美しいフォルムはどんな空間にもフィットし、木の質感がさり気なく温かみを醸し出してくれる。オシャレなだけでなく、明るい白の文字盤と文字の配列は見やすさに配慮され、カチコチ音がしない電波時計で機能性も抜群。新しくかつ永続的な美しさを持つデザインは、誰からも愛されている。



 

RIKI STEEL CLOCK

RIKI STEEL CLOCK

2.「RIKI STEEL CLOCK(リキスティールクロック)」シリーズ


「RIKI STEEL CLOCK(リキスティールクロック)」シリーズは、モノトーンでクールなスチールフレームで、直径φ200とやや小ぶりなサイズ。シンプルで繊細なデザインだが、マットな質感が落ち着きを感じる名作クロックである。クールなインテリアやオフィスなどにもフィットする。



 

RIKI ARALM CLOCK

RIKI ARALM CLOCK

3.RIKI ARALM CLOCK(リキアラームクロック)


クロックからウォッチまで、あらゆる時計をライフワークとした渡辺力さんデザインの置き型の目覚まし時計 RIKI ALARM CLOCK(リキアラームクロック)。木のぬくもりを感じるシンプルで美しいフォルムは、オシャレだが可愛らしくもあり、誰もが一目で気に入るデザイン。どんなお部屋に置いても全く違和感なくフィットする。



 

小さな時計

小さな時計 レッド

4.「小さな時計」シリーズ


1970年に発表された、「小さな時計」シリーズ。余計な装飾を省きながら、強い個性を発揮したこの時計は、世界中のデザイナーや建築家から高く評価された。直径φ122と小ぶりながら、厚み72mmで強い個性を発揮しており、この奥行きを生かしたスチールフレームの豊富なカラーバリエーションと、美しい影をつくる立体的なレリーフ文字の組み合わせが、モダンだがどこか懐かしい雰囲気を醸し出す。小さいながらもインテリアとしてしっかり存在感を示し、付属の専用スタンドを付ければ、置時計としてもまた違ったアクセントを与えてくれる。

 

この他、「日比谷の時計」シリーズ「銅の時計」「八角の時計」等、多くの作品がある。クロックだけでなくウォッチのラインナップも豊富で、時計のデザインがライフワークだったことが伺える。
当サイトでは主にクロックを扱っている。ぜひ渡辺力さんの作品に触れていただきたい。

 

 


渡辺力 渡辺 力(わたなべ りき)
1911年7月17日東京生まれ。
東京高等工芸学校・木材工芸科を卒業し、母校にて助教授を勤めた後に、東京帝国大学(現東京大学)の林学科助手に。戦後はフリーランス・デザイナーとなり、1949年日本初のデザイン事務所「渡辺力デザイン事務所」を設立。1951年に発表した「ひも椅子」で国内外から注目を集める。
1957年には、代表作でもある「トリイスツール」等がミラノ・トリエンナーレでコンパッソドーロ賞を受賞。その他にも新制作教会展新建築賞、ミラノ・トリエンナーレ展金賞、通産大臣賞、毎日産業デザイン賞、グッドデザイン賞、更には紫綬褒章まで含めた多数の賞を受賞しており、日本を代表するプロダクトデザイナーの1人。旧東京ヒルトンホテルに始まり、京王プラザホテル、プリンスホテルなど10数のホテルのインテリアデザインを手がけた。
また、壁時計に始まり日比谷第一生命ポール時計などパブリッククロック、ウォッチまで時計の仕事はライフワークとなった。東京造形大学室内建築科、クラフトセンター・ジャパン、日本インダストリアルデザイナー協会、日本デザインコミッティー等の創設に深く関わる。著書に「素描・渡辺力」(建築家会館叢書)、「ハーマンミラー物語 イームズはここから生まれた」(平凡社)など。2013年101歳で逝去。


平田 欽也
平田 欽也

1962年広島市生まれ。広島工業大学建築学科卒業後、建築家 清家清に師事し1997年に独立。 現在、一級建築士事務所「アトリエ平田」代表。シンプルな構成の中にも気遣いが感じられる住宅を得意とし、家族のコミュニケーションや気候・風土を大切にしていく住まいづくりに情熱を注いでいる。 1996年「ギャラリーのある駅」でインテリアプランニング賞 優秀賞、2007年「太陽工業新社屋」で日経ニューオフィス賞 優秀賞。2010年「尾道の家」でひろしま住まいづくりコンクール 最優秀賞。 広島工業大学建築デザイン学科非常勤講師。