‖ 8作品が世界遺産に
近代建築の三大巨匠の一人、フランク・ロイド・ライトの建築が世界文化遺産に登録されました。
ライトの建築といえば大自然の中に立つ「落水荘」や、貝のような螺旋状の展示スペースがある「グッゲンハイム美術館」などが代表作であり、こちらも世界文化遺産に登録されています。
今回ライトの建築からは8作品が世界文化遺産に登録されました。
1906年 フレデリック・C・ロビー邸
1908年 ユニティー・テンプル
1914年 タリアセン
1917年 ホーリーホックハウス(バーンズドール邸)
1936年 落水荘
1936年 ハーバート・キャサリン・ジェイコブス邸
1937年 タリアセン・ウェスト
1959年 グッゲンハイム美術館
環境を融合させた有機的建築や、空間の内側と外側の曖昧な境界、建材の斬新な組み合わせなどで、20世紀のデザインに大きな影響を与えたことが高く評価されています。
ライトは独立後、17年間に計画案も含め200件近い建築の設計を行い、プレイリースタイル(草原様式)の作品で知られるようになりました。1906年の「ロビー邸」はその代表的な作品です。日本の文化や住宅の影響を受けたとも言われていて、その後独自のアメリカンスタイルを確立していきました。
プレイリースタイルの特徴は建物の高さを抑え、水平線を強調した佇まいで部屋同士を完全に区切ることなく、一つの空間として緩やかにつながれています。
「タリアセン」、「タリアセン・ウェスト」は設計事務所兼共同住宅であり、建築教育と実施を行ってきました。タリアセン・ウェストは現在も教育施設として使われ、ツアー観光客も多く訪れる場所になっています。
アメリカでの建築群の登録は今回が初めてです。
‖ ライトの日本の建築
日本の浮世絵への造詣も深かったライトは、「旧帝国ホテル」の建築などで日本でもその名が知られています。
初代帝国ホテル本館は1967年に解体され、現在は愛知県の明治村に玄関部分のみが移築保存されています。
さらに、日本国内にあるライトの作品も、今後の世界遺産登録を目指しているという建築もあります。
重要文化財に指定されている兵庫県芦屋市の「旧山邑家住宅」(ヨドコウ迎賓館)は今後の世界遺産登録を目指す作品の一つとして挙げられています。現在は一般公開されているのでぜひ訪れるてみるのも良いかもしれませんね。
‖ ライトの建築の装飾デザイン
建築だけでなく家具や造園まで手掛けたフランク・ロイド・ライトは、装飾美術を建築に融合し独特の世界感を表現し続けました。その装飾デザインは今でも愛し続けられ、インテリアや照明などの様々なシーンでモチーフにされています。
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フランク・ロイド・ライト
1867年アメリカ ウィスコンシン州生まれ。20世紀最も影響ある建築家の一人。
アメリカ大陸を中心に活躍し、日本にもいくつか作品を残している。ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエと共に「近代建築の三大巨匠」と呼ばれる。基本的にはモダニズムの流れをくみ、幾何学的な装飾と流れるような空間構成が特徴。
ウィスコンシン大学マディソン校土木科を中途退学後、叔父ジェンキンの紹介により、建築家のジョセフ・ライマン・シルスビーの事務所で働き始めるが、1年ほどで退職。アドラー=サリヴァン事務所へと移った。1893年、アドラー=サリヴァン事務所を辞し、独立して事務所を構える。独立した1893年から1910年までの17年間に計画案も含め200件近い建築の設計を行い、1906年のロビー邸等、プレイリースタイル(草原様式Prairie Style)の作品で知られるようになる。1913年、帝国ホテル新館設計の為に訪日。1930年代後半になるとカウフマン邸(落水荘)、ジョンソンワックス社と相次いで2つの代表作を世に発表し、70歳代で再び歴史の表舞台に返り咲く。同時期にはプレイリースタイルの発展形である「ユーソニアン・ハウス」と名付けられた新たな建築方式を考案し、これに則った工業化住宅を次々と設計した。1959年没 。
代表作は他にも1937年アリゾナ州立大学記念劇場、1959年グッゲンハイム美術館などがあり、現在も使用されている。